ビームスプリッターとは何ですか?その原理、種類、そして応用について説明します!
ビームスプリッターとは、透過光と反射光を所定の分岐比で分割する光学部品です。ビームスプリッターは様々な光学機器に用いられ、各業界において重要な役割を果たしています。 本記事では、その原理、種類、応用、そして当社の実績について説明いたします。
ビームスプリッタの原理は?
ビームスプリッターは、入射光を透過光と反射光に分割する光学部品です。ビームスプリッターの貼り合わせ面には、ポリエステル系、ポリウレタン系、またはエポキシ系接着剤が使用されます。異なる接着剤の厚さは、透過光と反射光に影響を与えます。また、可逆的に分割された光の重ね合わせにも応用できます。
〈続きを読む :光学コーティングの原理とは何ですか?〉
ビームスプリッタの種類は?
ビームスプリッターの構造タイプは、プレート型、キューブ型、、偏光ビームスプリッター、そして無偏光ビームスプリッターの四種類があります。ここからは、この四種類のビームスプリッターの違いについて説明いたします。また、プレート型とキューブ型ビームスプリッターの比較早見表も用意しましたので、ご参考になれば幸いです。
ビームスプリッタの分類
プレート型ビームスプリッター
プレート型ビームスプリッターは、薄い平板ガラスを基板に採用してるために、比較的に大きなサイズを用意できます。ほかの種類のビームスプリッターに比べ、低コストの設計ができることがメリットです。通常、プレート型ビームスプリッターの入射角度は45°の角度で設計されていて、表面側には、R/T分割実現する薄膜が施されています。そして裏面側には、反射を低減し、透過率を向上させるARコーティングが施されています。
キューブ型ビームスプリッター
キューブ型ビームスプリッターは、2つの直角プリズムで構成されています。一方のプリズムの斜面に薄膜が施されていて、プリズムの斜面同士を、ポリエステル系、ポリウレタン系、またはエポキシ系接着剤で接合してキューブ型を構成します。キューブ型ビームスプリッターのメリットは、入射角度0°でアライメント作業しやすく、ビームシフトがないことです。また、接着剤の厚さにより、透過光と反射光に影響を与えることがあります。
プレート型とキューブ型ビームスプリッターの比較表
|
プレート型ビームスプリッター | キューブ型ビームスプリッター |
---|---|---|
寸法 | 大きなサイズが製作可能 | 大きなサイズ製作に向いてない |
体積 | 比較的に薄い | 重量 |
コスト | 比較的に安価 | 比較的に高価 |
ビームシフト | あり | なし |
反射光と透過光の光路長 | 光路長が等しくない | 光路長が等しい |
ビームスプリッターの特性
偏光ビームスプリッター
偏光ビームスプリッターは、S偏光の反射光とP偏光の透過光に分割することができます。特定レーザー波長用のビーム分割に使用され、S偏光とP偏光を分離することができます。斜面に施したコーティングにより、入射時にP偏光が透過し、S偏光が反射するよう設計されています。
無偏光ビームスプリッター
無偏光ビームスプリッターは、プレート型とキューブ型があります。キューブ型無偏光ビームスプリッターはペアの高精度直角プリズムで構成され、波面の歪みを最小化し、ビーム間平行度が確保されます。無偏光ビームスプリッターは、レーザーアプリケーションに使用され、 偏光状態を変えないように特定ビームを分割し、シフトが少ないことが特徴で、波面の歪みを最小限に抑えられるため、高精度を要求される装置に使用されます。
偏光と無偏光ビームスプリッターの特徴
|
偏光ビームスプリッター | 無偏光ビームスプリッター |
---|---|---|
特徴 | 1.ビームシフトが少ない 2.応力が低い 3.画質向上 |
1. 決められたR/T分岐比で光量を分配できる 2. 透過と反射の各偏光を維持できる 3. 波面の歪みを最小限に抑える |
日常においてビームスプリッターの応用
日常生活におい、ビームスプリッターが広く使用されています。ビームスプリッターにには誘電体膜が蒸着されているため、低吸収率を有し、重要な光学部品として様々な光学機器に使用されています。レーザーアプリケーションだけでなく、検出装置、医療システム、照明システム、画像システム、光通信など幅広く用いられています。ここからは、日常においてビームスプリッターの応用例を4つ紹介します。
〈続きを読む :フィルターとは何ですか? 7種類のフィルターとその応用について学びましょう!〉
日常においての応用例その1ーレーザーアプリケーション
ビームスプリッターはレザーアプリケーションにおいて中心的な役目を果たしています。吸収率が低く、1本のレーザービームを複数の個別のビームに分離することができるため、レザーアプリケーションに幅広く用いられます。例えば、ビームスプリッターは、レザーアプリケーションにおいて、特定の波長の光を2つ以上に分割する事が出来るため、精密なレーザー光学試験または工業用レーザー応用装置に使用されます。
レーザーアプリケーションには、用いられた光学部品の品質はその効能および信頼性に影響を与えるため、過酷な環境で利用する場合には、ビームスプリッターはより厳格な精度基準を満たさなければなりません。しかし、レーザー用ビームスプリッターの性能は、波長、偏光、入射角の影響を受けます。 これらの要因により、時間の経過とともにビームスプリッターの透過率が変化する可能性があり、システムのメンテナンスや校正時には、これらの要因を考慮する必要があるため、ビームスプリッターはレーザーアプリケーションに不可欠な光学部品だけでなく、精密管理およびメンテナンスの欠かせない肝心な部品でもあります。
日常においての応用例その2ー照明システム
レーザーアプリケーション以外に、ビームスプリッターは、照明システムの開発においても重要な役割を果たします。 この入射光を所定の分割比で2つまたは2つ以上のの光に分割する光学部品は、照明においてとても重要であります。 たとえば、舞台照明では、ビームスプリッターを使用し、ビームを複数に分け、華やかに見せる効果があります。
日常においての応用例その3ー医療システム
医療分野でのビームスプリッターの応用はプリケーションや光通信分野での応用を遥かに上回っています。ビームスプリッターという工学部品は、医療診断、生物学的検査、干渉測定、画像キャプチャ、および照明技術において重要な役割を果たしています。 たとえば、最新の内視鏡カメラは、ビームスプリッターを使用し、光誘導および配光により、はっきりした画像を提供でき、医師がより正確な診断が行えるようにしています。
ビームスプリッターは、MRI や CT スキャンなどの医用画像技術でも重要な役割を果たします。 光を反射または透過することで高解像度の画像を提供でき、医師が患部をより明確に見ることができるようになります。 さらに、レーザー手術や治療では、ビームスプリッターはレーザーの方向と強度を的確に制御し、高い精度と安全性を確保した手術ができます。
日常においての応用例その4ー光通信
光通信業界では、ビームスプリッターの用途は多面的で重要です。 たとえば、パッシブ光ネットワーク (Passive Optical Network, PON) は、単一の信号を受け取り、そして複数の信号に分割します。ファイバとスプリットは、電源なしで信号転換可能で、家庭用の鏡が電力供給なしで映像を映すことができるように、電源は送信ポイントと受信ポイントでしか必要となりません。単一の伝送ポイントから複数のエンドポイントにデータ配信することができます。
パッシブ光ネットワークアーキテクチャは、コア・ネットワークおよびアクセス・ネットワークがあります。コア・ネットワークとは、長距離基幹通信網を指しています。一方、アクセス・ネットワークとは、通信事業者からユーザを結ぶネットワークを指しています。コア・ネットワークの運用として、波長分割多重(WDM)テクノロジーが採用されていますが、アクセス・ネットワークは、光スプリッターおよび波長分割多重部品が活用されています。
〈続きを読む :撥水コーティングは、なぜ防汚・撥水の効果がありますか?その原理から応用までを説明します。〉
YANG EN TECH CO., LTD. のビームスプリッター
当社は、ビームスプリッターのカスタマイズ製作を承ります。お客様のニーズに合わせ、反射率・透過率を設計し、直角プリズムの斜辺にコーティングまたは反射率・透過率の光量分岐比が任意に変えられる可能となる誘電体多層膜を施し、透過率と反射率の和を100%に近づけるように取り組んでいます。当社は、お客様の要件に応じて、カスタマイズに対応し、高品質および高精度のビームスプリッターを提供いたします。
ビームスプリッター実績、その1
ハーフミラー(反射光と透過光がほぼ1:1のビームスプリッター)は、吸収率が低く、透過率と反射率の分岐比(例:30:70、80:20 、 20:80)を任意設定できます。
お客様のご要望に応じて、分岐比の設定をカスタマイズしてきました。ハーフミラーはヘッドアップ ディスプレイによく使用され、基材はガラスまたはプラスチックなどとなります。
〈続きを読む :ガラス加工とガラス仕上げにおいて、どのような種類がありますか?〉
ビームスプリッター実績、その2
お客様の要求スペックに応じて、ビームスプリッターに誘電体多層膜をコーティングし、これらの製品は主にレーザーアプリケーション、検出装置、画像診断装置などに使用されています。 以下の資料に示すように、反射率と透過率は両方とも 50% となり、使用可能な基材はガラス、PC、PMMA などがあります。モニターのドームカバー、マジックミラー、ディスプレイモニター保護パネルなどに活用されています。
結論
ビームスプリッターは、日常生活からテクノロジーの分野において広く用いられています。当社は、光学コーティングにおいて、15年以上の経験を持ち、光学コーティングの設計からフィルター加工・製造、ガラス加工、コーティング加工までのサービスを提供しております。お客様のニーズに合わせて高品質なビームスプリッターを提供いたします。ご要望などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。